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石川県医療労働組合連合会からのお知らせ

日本医労連が大規模な支出をともなう第3次補正予算を要求
2020-07-03
注目重要
政府は直ちに臨時国会を開き、「1日20万件PCR検査体制」「自粛に応じた全面補償」
「医療体制抜本強化」を柱とした大規模な第3次補正予算を編成することを求める(談話)
 
2020年7月3日
日本医療労働組合連合会
書記長  森田 進
 
東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数がこの数日50~60人で推移し、7月2日には107人となり、近隣自治体への広がりもみせている。これは、政府が示した外出自粛要請等を求める基準を超えている。国と東京都は、最近の新規感染者数の増加について、「検査数を積極的に増やしているためだ」と説明しているが、6月20日時点の人口1000人当りPCR検査件数は、日本は0.08人で、アメリカ1.53人、イギリス0.92人、イタリア0.90人、ドイツ0.63人などG7各国の10分の1から20分の1の水準にとどまっており、感染者数の少ない東アジア地域の韓国0.22人と比べても3分の1程度という実態にある(Our World in Dataより)。これでは感染の実態はつかめず、従って、経済活動を安心して再開することにも全くつながらない。
厚労省は6月19日、都道府県に対し、事務連絡「今後を見据えた新型コロナウイルス感染症の医療提供体制整備について」を発出した。この中で、同日の専門家会議が公表した「新型コロナウイルス感染症の医療提供体制確保のための新たな流行シナリオ」に基づき、国内の感染実績を踏まえた新たな患者推計を行い、7月上旬には推計をふまえた病床確保計画を策定し、7月末を目途に体制整備を行うよう求めている。この「新たな流行シナリオ」では、「社会への協力要請(自粛要請等)」が早期であるほど感染拡大を抑止し、患者数を抑えることが出来るとし、実際の協力要請を行うタイミングを基準日の1~7日後とする前提で患者推計を行っている。基準日については、専門家会議の「状況分析・提言」(5月14日)において、4月7日「緊急事態宣言」発出時の新規感染者数が10万人当り5人程度であったことをふまえ、その半分程度の10万人当り2.5人/週に達した時点としている。また、厚労省事務連絡の「(別紙3)新たな『流行シナリオ』について(補論)」では、「(参考)社会への協力要請を行うタイミングを検討するに当たっての目安」が示されているが、これによれば、東京都の「基準日」は「新規感染者数/週=344人」「平均新規感染者数/日=50人」である。直近の東京の右肩上がりの新規感染者数の状況は、この「基準日」の水準を既に超えており、まさに4月の緊急事態宣言発出時の状況にある。
ところが6月30日、東京都の小池知事は、都内の感染状況のモニタリング指標を見直し、「東京アラート」の運用はとりやめるとし、休業要請等の数値基準を撤廃した。これまでは直近1週間平均で①新規感染者数、②新規感染者の感染経路不明割合、③感染者増加割合が基準を一つでも超えれば、他の指標(④重症患者数⑤入院患者数⑥PCR検査陽性率⑦受診相談件数)も勘案したうえ「東京アラート」を発令、休業を再要請するとしていたが、その基準を明らかに超える状況に至っているにもかかわらず、経済活動再開に前のめりになり、アラートを発令していない。自らの知事選出馬表明も考慮し、再度の自粛要請を回避するために基準を変更したとしか受け止めることができない。科学的根拠に基づき行われるべき国民・都民のいのちに直結する感染症対策を、政治家の都合で左右したのならば、到底許されることではない。また、西村経済再生担当大臣が専門家会議の廃止を突然表明し批判が起きている。東京都での新規感染者が増えている中で引き続き専門家会議の知見を踏まえた対策が必要である。
前述の「新たな流行シナリオ」でも、「基準日」を超えて「社会への協力要請」を行うタイミングが遅くなればなるほど、感染ピーク時の感染者数・入院患者数・重症患者数ともに増大し、収束までにより長い期間を要することが改めて示されている。このまま感染拡大を放置し対処が遅れれば遅れるだけ、再びオーバーシュートの危機が高まり、医療崩壊に陥りかねず、また、感染拡大防止のための行動制限が後手に回り収束までに時間がかかればかかるほど、すでに大きな痛手を負っている国民の暮らしも日本経済も、取り返しのつかない深い傷を負うことになりかねない。いま再び急激に拡大する兆候を示す新型コロナウイルスから、国民のいのち暮らしを最優先で守る政治の実現を切望する。
安倍首相が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策を盛り込んだ総額31兆9114億円の2020年度第2次補正予算について、その事業規模を持ち出し「世界最大級の200兆円規模」といくら誇示して見せても、また、口先でいくら「迅速な対応」と言ってみても、新型コロナ対策は遅れと不十分さが指摘されている。私たち医療・介護現場でも「遅い且つ不充分」としか受け止められない。実際に十分な支援が速やかにいきわたらなければ、医療現場も国民の暮らしも日本経済も壊滅的な打撃をこうむることになる。野党が共同して求めた国会延長による新型コロナウイルス感染対策にも応えず、国民のいのちと健康、暮らしを危険にさらしたまま、日銀短観でも明らかなように経済活動の落ち込みも深化させた政府には、猛省を求めたい。今重要なことは、感染拡大防止のため徹底した検査と隔離を実施する体制を直ちに作ることである。24時間で4桁の検査をこなす全自動PCR検査装置を全国に100台配備しても「アベノマスク」よりも安くすむ。併せて、感染拡大防止の観点を最優先とし、収束後、早期に経済活動を回復軌道に乗せるためにも、この間、ドイツやイギリスはじめ先進諸外国で行われたように、国民の暮らしを守りダメージを最小限にとどめるよう徹底した補償を行うべきである。そして、医療経営と従事者を守り、万全の備えに総力をあげることである。政府と東京都はこれらについて今度こそ真剣に検討し速やかに実行に移すべきであり、直ちに臨時国会を開き、「1日20万件PCR検査体制」「自粛に応じた全面補償」「医療体制抜本強化」を柱に第3次補正予算を編成するよう強く求める。
以上
  • (2020-07-03・90KB)

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