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石川県医療労働組合連合会からのお知らせ

医療団体連絡協議会が厚生労働省政務官に緊急要請
2020-04-29
重要
医療団体連絡会議(日本医労連、保団連、全日本民医連、医療福祉生協連、新医協の5団体で構成。略称=医団連)は、4月27日、自見はなこ厚労政務官を訪問して26項目にわたる緊急要請書を手渡し、新型コロナウイルスと最前線で対峙する医療・介護現場からの緊急要請を行いました。日本共産党の倉林明子参議院議員の仲介で実現した今回の要請には、森田しのぶ日本医労連中央執行委員長はじめ各団体の代表が参加しました。
 日本医労連の森田しのぶ委員長は、4月24日の記者会見で示した緊急調査結果を現場の生の声として紹介しながら緊急要請書の内容を説明。「精神科の病院では入院患者への感染症対策が非常に困難で看護師が苦悩している。また、医療従事者への偏見、差別も深刻で対策が求められている」と現場の実態把握と対策強化を求めました。
 全日本民医連の岸本啓介事務局長は「新型コロナ対策で奮闘している医療機関が減収になっている。とくに病院が深刻で2割、3割減っている。4月診療分の診療報酬は6月20日以降に支払いとなるが、倒産ということもあり得る。感染患者を受け持っていない医療機関も、受診抑制などによる減収である。医療崩壊を防ぐために、財政支援が緊急に必要である」と訴えました。
  医療福祉生協連の片山忍専務理事は「病院だけでなく約400の診療所が加盟している。受診手控えによる減収が深刻だ。患者、職員に感染者が出て、休診しても補償はない。介護事業所もデイサービス、ショートステイが激減。訪問介護は感染のリスクが高く、防護用具が欠かせない」と病院だけでなく診療所、介護事業所への支援を求めました。
 保団連の住江憲勇会長は「マスク、防護用具の不足は、医療従事者に裸でウイルスとの闘いを迫るものである。最優先で供給対策を取ってほしい。PCR検査が大規模に実施できるよう財政援助が必要である。重症患者受け入れる病床が決定的に不足している。第一線医療を担う医療機関の収入減が深刻である。保険医協会の調査では8割が収入減を訴えている。病院、医科歯科診療所ともに減収補填が必要である。震災時には、過去の診療実績で概算請求を認めたこともある」とすべての医療機関を対象にした財政支援を求めました。
       
   
     
 
 自見政務官は、医療・介護従事者の献身的奮闘に頭が下がるとした上で「クルーズ船・ダイヤモンドプリンセス号で感染対策に当たった時から、感染者が日本中で拡大する危険を感じていた。必要な対策は、すべておっしゃるとおりである。マスク、防護用具については、オンラインで医療機関から需給状況を聞き取れるようにしたので、供給体制を強化したい。大学病院では10数億円の赤字と聞いている。医療従事者が家族への感染の不安から家に帰れないなどの実態もある。感染患者を受け入れている医療機関へは財政補填をする。それ以外の医療機関への対応は遅れている部分もあるので、そう杞憂に対応したい。PCR検査は、医師会の協力も得て、可及的速やかに支援体制を作る。入院や手術を控えた患者、医療従事者は症状がなくてもPCR検査の対象にする。感染者と接触する医療従事者への偏見・差別の問題は、プリンセス号に派遣されたDMAT(ディーマット)の方々も苦労された。社会全体の理解が不可欠であるが、対策を講じたい」と国としても全力で対応する姿勢を示しました。
 
内閣総理大臣 安倍 晋三  殿
厚生労働大臣 加藤 勝信  殿
 
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と最前線で対峙する
医療・介護現場からの緊急要請書
 
2020年4月27日
医療団体連絡会議(医団連)
全国保険医団体連合会      会長   住江 憲勇
全日本民主医療機関連合会    会長   増田  剛
日本医療福祉生活協同組合連合会 会長理事 髙橋  淳
新医協(新日本医師協会)    会長   今田 隆一
日本医療労働組合連合会     委員長  森田しのぶ
(公印省略)
 
 新型コロナウイルス感染対策にご尽力いただいていることに対し敬意を表します。
私たちは、民間の医療機関、医師・歯科医師、医療・介護の労働組合などで組織する団体の連絡会です。COVID-19対応に直面し、昼夜を分かたず奮闘を続けていますが、医師・看護師をはじめとした人員不足、衛生材料や医療機器不足の中で、困難を極めています。この状況は、直接感染症患者を受け入れた医療機関のみならず、感染拡大の中で、すべての医療機関が対応に追われている状況です。「医療崩壊」の危機が差し迫っている中で、国及び自治体からの強力な支援が緊急に必要な事態となっています。そのような認識を共有していただき、医療・介護現場からの緊急要請に対し、速やかにご対応いただくことを切望します。
 
1.医療・介護・福祉などの確保と感染拡大防止に向けた体制確立について
(1)COVID-19による重症者に対応する病床を確保すること。
①感染症病床の増床及び、病床確保に協力する医療機関への十分な補償を行うこと。
②医療機関の役割分担と病床確保に向けたネットワークを、医師会や医療機関任せにすることなく、国と自治体の責任で構築すること。
(2)人工呼吸器、人工心肺等の増産を図ること。集中治療体制の崩壊を阻止するため、マンパワー確保への協力体制・ローテーション構築を国や自治体が支援し、協力体制確保への助成や専門スタッフ緊急養成とそのための研修等にかかわる体制整備と補償を行うこと。
(3)無症状や軽症者の病院外での経過観察や、帰国者・濃厚接触疑いケースも含め、それぞれの経過観察場所の確保を図ること。また、経過観察場所の確保に向けた協力施設等への経費補填を行うこと。
(4)PCR検査実施体制の拡充を速やかに行うこと。
①PCR検査の抜本的な拡大を図るとともに、医師の判断のもと保険診療で迅速に実施できるように整備し、協力医療機関への支援強化を行うこと。
  ②COVID-19スクリーニング・トリアージ専門外来を設置すること。
③検査所などの拡大については、専門家の意見に沿って方針を立てたうえで設置すること。
④新型コロナウイルス抗原検査・抗体検査についても早急に保険・公費負担対象とし、精度向上を図ること。
(5)COVID-19対応医療機関等に対して、院内感染防止対策強化を図るための財政支援を行うこと。また、すべての医療・介護・福祉などの事業所に対して、感染防止に必要な資材の十分な供給確保を図ること。感染防止対策として、無症状の職員に対する新型コロナウイルス検査を公費負担とすること。
(6)専門外来・検査所等の設置に協力する医療機関への補助(マンパワー提供に伴う経費補填や損失補填)を行うこと。
(7)患者への対応によって感染した職員及び、職員間の感染については、労働災害を適用すること。
(8)COVID-19感染判明者または疑いのある者が医療機関に受診し、その後の診療休止に伴う医療従事者の自宅待機については、100%休業補償または要件にかかわらず助成金の対象とすること。
(9)COVID-19感染判明者または疑いのある者について、国が責任をもって医療機関や経過観察場所等へ移送すること。移送にかかる費用は公費で賄うこと。
(10)COVID-19対応にかかわり医療機関が一時的に診療報酬の施設基準及び研修要件を満たさない場合、経過措置として基準緩和を拡大すること。
(11)治療薬・ワクチン開発を国として責任をもってすすめること。
(12)COVID-19感染による入院治療以外の治療・経過観察に伴う患者の自己負担を免除すること。また、休業を余儀なくされた方の100%休業補償と経費補填を行うこと。
(13)感染症対策の基本は、感染者を潜伏させないことにある。従って、新型コロナウイルスの感染の疑いに限らず、無保険者や在留外国人を含め、国内のすべての方が受診・検査を受けられるようにすること。また、国保資格証明書の交付を止め、通常の国保証をすべての加入者に届けること。患者負担増計画を止め、窓口負担の引き下げを行うこと。
 
2.国民への啓発活動について
(1)医療従事者に対する国民の偏見や差別を根絶するため、国民に対する啓発を行うこと。また、風評被害への対策強化・相談窓口の設置を行うこと。
(2)外出自粛中の健康状態を維持できるよう運動不足解消へ向けたとりくみを、国民に対して具体的に広く呼び掛けること。
(3)DV予防やメンタルヘルスに関する啓発を行うこと。
 
3.「三密」回避のための事業休止等に伴う損失補償について
密閉・密集・密着を回避するため休止・縮小する全ての事業に対する損失補償、経費補填を行うこと。
 
4.COVID-19拡大の影響にともなう収入減等に対する補償について
(2)全ての医科・歯科医療機関及び介護施設、福祉施設等において新型コロナウイルス感染拡大による赤字を公費で補填し、医療・介護、障害者施設等の提供が継続できるようにすること。
 
5.保健所機能を抜本的に強化すること
感染症対策の人員配置の強化を含め、保健所機能の強化を行うこと。また、保健所の統廃合方針を改め、保健所管轄範囲を適正な規模に見直すこと。
 
6.公立・公的医療機関の再編・統合に向けた「再検証要請通知」を撤回すること
(1)1月17日に都道府県に対して通知された「再検証要請」は撤回すること。
(2)再検証要請の根拠とされた「診療実績データの分析」自体を白紙に戻すこと。
 
7.地域医療構想の抜本的な見直しを行うこと
(1)COVID-19の拡大で医療確保が焦眉の緊急課題となるなか、地域医療構想(2016年度策定)に基づく「13万床病床削減」は直ちに中止すること。
(2)2015年3月末に発出された「地域医療構想策定ガイドライン」は、今回のCOVID-19の急速な世界規模の拡大といった事態は一切想定されていないことから、近年繰り返し発生する新型感染症の危機に備えるため、病床削減を進める「地域医療構想」を抜本的に見直すこと。
 
8.地域医療構想を前提とした医師・看護師需給計画を抜本的に見直すこと
(1)新型感染症の蔓延により、医療現場を支える医師・看護師などに極めて過酷な労働が強いられ、医療従事者の疲弊から「医療崩壊」へ至ることが明らかとなるなかで、医師・看護師をはじめとする医療従事者を大幅に増やすため、地域医療構想を抜本的に見直すこと。
(2)病床の再編・縮小に合わせた医師数の抑制や、都市部からの移動で医師偏在を解消するとする「三位一体改革」(地域医療構想、医師偏在対策、医療従事者の働き方改革)は、平時でも「医療崩壊」をもたらしかねないことから、現下の感染症蔓延の危機をふまえ、抜本的に転換すること。
以上
 
 
 
  • (2020-04-29・21KB)

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